第2章  寂しさの色は《和助》

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おばさんは悪い人ではなかった。 すごく変わった人ではあったけど 明るくて、独り身で、料理上手。 それが去年、 質の悪い風邪を引いて あっけなく亡くなってしまった。 お葬式では僕 おばさんの親戚に   ずいぶん白い目で見られた…… というか、 そもそもお葬式、 僕みたいな立場の人が 出ちゃいけなかった んじゃないの……? なんて思い至るのは 半年も経ってからで。 ともかくそのお葬式で、   一人だけ僕を不憫がってくれて 引き取ってくれた人がいた。 それが銀次の兄さだ。 兄さと呼んでいるのは 銀次が例のおばさんの兄だから。 兄妹そろって 変わってるというか……。
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