第3章  リボン   《辰乃》

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「そんな人がいたとは 知らなかったな。 良かったではないか」 「ええ……このまえ 従姉のお姉さまが 明治神宮で式を挙げられて、   そこで知り合った方なんです……」 「そうか。 なればきっと良縁になろう。 しかし、 女は小間物さえ与えておけば 喜ぶと思うのは どこの男も同じなのだな」 「まあお姉さまったら、ふふ。 でもそうですわね。 お姉さまの好い人と、 私のあの人とは 似たようなご気性の 方なのかもしれません」 などと咲子が言うて 口元を隠すので、 私もおかしくなって、 この時はただ 笑っていた。……
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