《第1話 辰乃編》第1章《辰乃視点》

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この小男は奉公人の和助と言って、 こまねずみのようにくるくる働く うちの店の便利な使い走りだ。 が、菓子屋『八ツ志摩堂』 2代目(=父)の長子にして 次期3代目跡継ぎの私に、 こりもせずこの通りの態度。 勤めだして三ヶ月にも 満たないくせに、 実際とんでもないガキだ。 「辰乃は何でそんなかたくななの」 「いいから帰れ」 「やだねっっ! うんと言うまで帰るもんかっ!」 ブチッ、 と私の堪忍袋の緒が切れる。 クソガキ……殺されたいのか。 居合い用の太刀を抜いて スラッと首もとに突きつけてやる。
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