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過去には人に言えないような
生業に手を染めといて、
今さらあんなんでなぜ照れる。
どうでもいい人を相手にするのと
好きな子を相手にするのとじゃ
こんなにも違うもの……?
「ああもうっ」
手習いの本まで
更衣室に置いて来ちゃったし。
教養ないに等しいんだからと思って
初給料でやっと買った本、
毎日一行は読もうと
細々と努力を続けている。
もしいつか僕に子供ができたら、
その子にはできるだけの教育を
受けさせたいなあ。
まともに娯楽本も読めないような、
僕のような人間にしちゃいけない。
辰乃はきっと
優秀な生徒だったのだろう。
それに並びたいというのは
高望みでも、
この先せめて世事くらいは
支障なくこなしていきたい。
僕にも
矜持というものがある。……
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