第5章  翳り 《辰乃》

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週末の日暮れはいつも、 阿万音と連れ立って どこへともなく街を歩く。 ただ歩いて、 会えぬ間にあった たあいもない話をする。 別れの四辻が近づけば いつものように差し伸べられた しなやかな腕。 けれどもそれは この首に届く前に、 すっと引いた。 また だ。 先週末も、 差し伸べられたその腕が 肩に回りきることはなかった。 あの時はたまたまだろうと 思ったけれど、 2度目ともなれば話は変わる。    どうかしたのかと 思うばかりで声にならない。
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