《第1話 辰乃編》第1章《辰乃視点》

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言う義務も無いから言うとらぬが、 こう見えても私にも 付き合っている男くらいいる。 ……まあ自分でも、よくそんなもの できたものだと驚く位だが。 とにかくあのような小僧に かまう暇などないのだ。…… 「辰乃」 昨日もあいつが 何だかんだ絡んできた。 一昨日も、今朝もだ。 「辰乃」   ああもう、イライラする! 他にやることはないのか、 あるだろいろいろ、そろばんとか。 「辰乃?」   「なんだっ」 「えっ、いや……すまん」 彼の困惑した顔が目に入る。 しまった。 せっかく二人で散歩だというに、 あんなちんちくりんのことで 頭がいっぱいだなんて。 不覚……。
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