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言う義務も無いから言うとらぬが、
こう見えても私にも
付き合っている男くらいいる。
……まあ自分でも、よくそんなもの
できたものだと驚く位だが。
とにかくあのような小僧に
かまう暇などないのだ。……
「辰乃」
昨日もあいつが
何だかんだ絡んできた。
一昨日も、今朝もだ。
「辰乃」
ああもう、イライラする!
他にやることはないのか、
あるだろいろいろ、そろばんとか。
「辰乃?」
「なんだっ」
「えっ、いや……すまん」
彼の困惑した顔が目に入る。
しまった。
せっかく二人で散歩だというに、
あんなちんちくりんのことで
頭がいっぱいだなんて。
不覚……。
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