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翌朝は熱も下がり体調も良くなったので、エンの用意してくれた朝食を食べて登校しようと思って、寮のロビーに降りたら、そこにアルバートが居た。
「あれ?アルバート?」
僕の声に、アルバートは、直ぐに気がついてくれた。
「よう!おはよう!どうだ?具合は?あれから熱出したんじゃね?」
僕の顔を覗き込むようにして、アルバートは言った。
そして、僕の顔色を見て眉を寄せた。
「あんまり良くねえな?眠れてねえんじゃねえのか?」
僕は、苦笑して言った。
「何時もの事だから、慣れてるし。でも、どうしたの?此処で、誰か待ってたの?」
僕の問い掛けに、アルバートは笑顔で言った。
「ああ。お前を待ってた。教室が分からねえだろうと思ってさ。それで」
アルバートの言葉に、僕は嬉しくなった。
「ありがと。アル。じゃあ。連れて行ってくれる?」
僕の言葉に大きく頷いてアルバートは言った。
「おう!任せろ!」
そう言ってアルバートは、僕の手を掴んで歩き出した。
僕は、アルバートに手を引かれて教室に入った。
「あ。おっはよー!メル君ー!」
そう言って、僕に手を振ってくれたのは、アリス。
ナイトや他の皆も居た。
僕が笑顔で返そうとした時、彼等の向こうにライサンダーの姿が見えた。
ライサンダーは、僕を強い目つきで睨みつける。
僕は思わず俯いてしまって居た。
ライが、僕の事を嫌うのは・・・・・・仕方ないと思うんだ。僕が普通と違うから。
僕の様子に、アルバートが言った。
「大丈夫か?メル?」
僕は大きく息を吐いて言った。
「ゴメンね。やっぱり・・・・僕には構わない方が良いよ。きっと失望すると思うから。僕・・・・・何も出来ないから・・・・・・」
そう言って僕はアルバートの手を離して、空いている窓際の一番後ろに行って座った。
僕の様子に困惑した表情をするアルバート達。
そして、ライサンダーを、振り返って、アルバートは言った。
「なあ?何でお前、そんなにメルを嫌う・・・・いや・・・・憎んでるって感じなんだが?」
アルバートの問い掛けに、僕を益々憎々しげに睨みつけてライサンダーは言った。
「簡単な事です。そいつが化物だからですよ。見た目に惑わされては危険ですよ?そいつは人間じゃ有りませんから」
ライサンダーの言葉に、驚いた表情で僕を見るアルバート達。
「え?人間じゃないって?え?」
困惑する彼等にライサンダーは言った。
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