第1章

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次は全力でいくわよ! 力強くいきんでいいわよ!! 私たちも全力で引っ張ってあげるからね!!」 きた!! 「1 2ーの!!頑張れがんばれ!!!!!!!!」 「ぅぅぅううううんんンンンン!!!!!」 「ふ、ふぇ、ふぇ、ぎゃーおぎゃー」 その瞬間 旦那が 見たこともない アホヅラをして 鼻垂らして泣いていた。 泣いてるのに 見たこともないほどの笑顔だった。 お母さんが亡くなってから 私はまた心から笑える日は来るだろうかと思ってた。 傷はまだ癒えてないけれど お母さんを失った悲しみは まだ胸に残ってるけど 冷たくなって亡くなっていったお母さんの変わりに この子は あたたかい体で産まれてきた。 なぜだろう。 いるはずがないお母さんなのに ふとここにいて 赤ちゃんを見てくれている気がした。 よくやったね。って お母さんの目にも涙が浮かんでる気がした。 赤ちゃんのカンガルーケアを終えて 私も落ち着いて病室に移動した頃 職場と 自分の両親に連絡し終えた旦那が部屋に入ってきた。 「お前の母さんがさ、ずっと陣痛の時から部屋にいる気がしたんだよ、俺。 本当は、お前に お前の母ちゃんも見てくれてるから頑張れ!!って言いたかったんだけどさ、
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