第1章

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病院に着いてすぐ 破水の用水検査をした。 結果は陽性。 強くなろうと決めたのに。 目には迷いは無いのに。 10分おきにやってくる痛みに耐え切れず 足がずっと震えていた。 旦那が 眠気なんて飛んで 私よりも青ざめた顔で私を見てる。 何度も さする位置はここでいいのか、どれくらいの強さでさすればいいのか聞いてくる。 陣痛の痛みがきてる時に、旦那が 呼吸方を大きな声で叫んでくれるのは 有り難いはずなのに イライラするのは何でだろう。 わけもわからず、何の涙なのかもわからないまま 私の目から涙は出るし、 間隔はとうとう3分間隔になった。 気づけば、昼の12時が過ぎてた。 深夜2時に来たのに、もう10時間も経ってる。 あの痛みに10時間も耐えたんだ・・・。 すごいじゃん・・・私。 痛みがおさまってる間に、ふとお母さんの顔がよぎる。 病室のベッドで 「誰か助けて、もう私を殺して」 何度もそう苦しそうにそう言ってたお母さん。 私のこの陣痛の痛みは、時間が過ぎれば終わることだろう。 もうあときっと数時間のこと。 だけど、お母さんは その痛みが、何日も何日も 何十時間も続いてたんだ、報われることもなく・・・。 お母さん・・・。 お母さんが、私を産んだ時は、どんな気持ちになった? お母さん・・・。 聞きたいことはまだたくさんあったのに・・・。 いったぁー・・・ また陣痛がきた。 もう1分間隔だ。 子宮口は7㎝。 「10㎝になったら分娩台へ上がりましょう!もうすぐいきんでいいからね!頑張るのよ!」 助産師さんが、懸命に私の腰をさすってくれながら汗だくで言ってくれた。 不思議だ。 頑張ってるのは、私と赤ちゃんのはずなのに 夫も泣きながら頑張ってくれてるし、 赤の他人の助産師さんも こんなにも親身になって 片時も力を抜かず 全力で腰をさすってくれてる。 夜勤明けできっと眠いだろうに 1ミリもしんどさを見せないその姿は 本当にプロだと思えた。
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