11人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの……すみません」
「何だ?」
商品を屋根の上に運び上げていた中高生の1人が、男に声をかける。
「腹減ったんですけど、飯食って良いですか?」
「いいぞ、ただし、弁当やおにぎりにサンドイッチを食え。
菓子類や菓子パン、食パンは日持ちするから食うんじゃねーぞ」
「は、はい」
「それと、飲料水は同じように日持ちしない、牛乳を飲め」
「分かりました」
食事の後も作業は続けられ、店内の商品で、食料品以外でも使えそうな物は全て、屋根の上に運び上げられた。
夕食のあと、籠城している者達は控え室のテレビを見て、この騒動の情報を得る。
子供は未だにグスグス泣いており、耳障りに感じた男は屋根の上に子供を追いやる、その子供に若い女性店員が付き添い、屋根の上に上がっていった。
男はもう1人の女性店員と控え室でテレビを見続け、邪魔な中高生達を商品が無くなった店内に追い払う。
男が女性店員を口説いている時だった。
車のエンジン音と共に、ガラスが割れる大音響が響き渡る。
男が様子を確かめようと木刀を持ち、控え室のドアを開けようとしたが、先に店内から開けられ、中高生の1人が控え室に逃げ込もうとした。
「助けて! ゾンビが入って来た――ヒィィィィ――食われる――」
ドアにしがみつき踏ん張る男の子の髪の毛が、後ろから伸びてきた青白い手に鷲掴みにされ、引っ張られる。
男は控え室の一番奥に後退し戸口を睨む。
ドアにしがみついていた男の子は店内に引きずりだされ、入れ替わるように青白い顔の男が、戸口に立った。
その男の後ろにも、同じように青白い顔の奴らが見える。
最初のコメントを投稿しよう!