パーの策謀

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とある日、パーは考えた。 どうして俺は絶対にチョキに勝てないんだろうか。 チョキ…すなわちハサミは、鋭利な刃二本により挟み込み、俺を切る。 だが考えてもみてくれ。 古来より、刀の刃の汚れを取る為に使われて来た俺は、真っすぐな一本の刃に対してはそれほど切れ易くは無かったはずだ。 それがどうだ、二本になった途端にいとも簡単にまっぷたつ。 じゃあ、あいつとの戦いで、勝つ術は無いのか? あいつにだってコンディションが悪く、刃が錆びたり、がたついている時だってあるだろう。そんな時は俺の勝ちにはならないのか? …いや、相手も素人じゃない。 俺との戦いを前にそんなにコンディションを崩す事などありえないだろう。 だったらチョキの弱点を狙うしか無い。 チョキの弱点は何だ? 絶対に勝てない相手…グーか。 グー、すなわち『石』はハサミで切る事は出来ない。どんなにその刃を研ぎすましても石はそれをボロボロにしてしまう。 じゃあ、俺はそこを狙えばどうだろうか。勝てるかもしれない。 切れなくなったあいつを包んでしまうのだ。 その為にはグーにチョキと先に戦って貰う必要があるが…そこは大丈夫だろう。 なぜなら、グーは俺にめっぽう弱い。 あいつは実は包まれるのが好きなのだ。包んでしまえばあっと言う間に戦意を消失してしまう。 『俺が一番だ!』と頑な態度でも、チョキを退治した後で優しく包んでやれば、勝負ありだ。 これで俺の完全勝利なのではなかろうか。 よし…今日は勝てそうな気がするぞ。 いざ出陣!
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