XXX

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 私が終電に揺られ駅までついて、家までの道を歩いていると、後ろから知らない男がついてきた。  私が歩くと彼も歩き、私が止まると彼も止まる。私が振り向くと彼は隠れる。  ならばと思い私は駆け出した。すると彼も駈け出す。  私は交差点の度に、右ヘ左へと曲がりしっちゃかめっちゃかに走る。家の場所を特定されるのを防ぐためである。しばらくすると、男もいなくなった。  これで安心して帰れると、歩き出した私の前に、いきなりその男が現れた。  もうダメだ。誰かに助けを求めなければ。 「誰か助けて!」 「113デシベルです」 「最後の挑戦者、惜しくも暫定1位に届きませんでした。第2位です」 「第2回防犯大声コンテスト優勝者は130デシベルで、昨年に続きプロレスラーのゴリ山ゴリ美さんです。おめでとうございます」  あいつが助けを求めるときがいつあるんだと思いながら、来年こそは勝てるようにと、私はもっと大声が出せる妄想を考え始めた。
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