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とんでもない場所に来てしまった。
一気に全身が熱くなるのを感じながら、上掛けをかき集め、胸を隠すように抱え込んだ。記憶のない状態で体をゆるしてしまったのか、と焦る。
雄介はそんな愛美から、バツが悪そうに目をそらせた。
「悪い……つい」
「うえ、ええっ?」
「つい……」
「つ、つい?」
「変顔して遊んだ」
「は?」
「こんなふうに」
「え、んぎゅっ!」
雄介の両手が素早く伸びて来て、愛美の両頬をムニュッと掴んだ。そのまま両側に引き伸ばしたり、手のひらでぎゅっと挟んだり、いいように弄ばれる。
「や、やめふがんがっ」
「あー、ちょー面白れえ! ここまでやっても起きねえんだぜ? お前どんだけぐーぐー寝てんだよ」
「む、むがああっ!」
雄介の手をやっとふり払い、自分の両頬を押さえた。
「ひどっ、伸びたらどうすんのっ?」
「伸びねえって」
「伸びるっ」
「伸びねえっ」
「伸びるーっ」
「伸びたってそんな変わんねえだろ」
「変わるの、伸びたら困んのっ!」
顔を赤くして睨むと、雄介は腹を抱えて笑い出した。心底楽しそうな顔を眺めるうちに、愛美も笑いたくなって来た。
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