21、ショウタイ

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目的はわからない。 でも、この校内に居る人物がということは間違いないと思う。 今、テスト監督をしている教室は二年二組で私が担任をしているクラス。 前に置かれたパイプ椅子に座り、テスト用紙と向き合う生徒たちを見る。 教卓にもいたずらがされてあったという事を考えると、このクラスの誰かがやったということも考えられてしまう…… 確かに私は頼りなく、疎ましい教師かもしれない。 〝役立たずの担任” 生徒からの無言の訴え―…? そうも考えてしまうけど、 柘植さんの写真や、それに書かれていた文字を考えると、どうしても疑ってしまう人がいる。 テスト時間が終わり、職員室に戻る。 私の隣の机に居るのは、 「お疲れ様です。椎原先生」 テストの採点をする手を止めて、にっこりとこっちを見て微笑む岬先生。 「お疲れ様です……」 「明日で中間テストも終わりですね。前回よりも点数が上がっている子達が多いので返却してあげるのが楽しみなんです」 そう言うと、再びテスト用紙にペンを走らせる。 私も座り、テスト用紙を確認していると、隣りからはシュッシュッ……とペンが紙の上を滑る音が聞こえてくる。 「あの……岬先生……」 「はい?」 「せ……先週の金曜日なんですけど……」 「先週の金曜日がどうかしましたか?」 「えっと……その……」 その先が言えない。何て言葉にして言えばいいのか分からないし、いざとなると直接確かめるのが怖い。 「椎原先生?」 「あ……いえ……やっぱり何でもないです……」 「何でもないんですか?変な椎原先生」 くすくすと岬先生が笑う。
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