一月十一日*三粒目

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   「しゃーないやん。また明日、な」  「明日……」  今の私に、中学二年の四月二十六日という明日は来ない。  昨日もその前も、ふっと気づけば現実に戻っていた。  こうやって光輝の隣に入られるのは、夢みたいに儚い時間なんだ。  このままバスに乗って帰るだけなんて、寂しすぎる。  簡単に諦められず、私は食い下がった。  「今日が満開かもしれないんでしょ? だったらちょっとだけ行こうよ、ね?」  「ええ?」  「お願い! ちょっとでいいから」  「どうしたん、今日はえらい粘るやん。明日じゃあかんの?」  「明日じゃダメなの、今日じゃないと!」  力強く言い切った後で、自分の声の大きさに驚いた。  光輝も同じだったんだろう、目を丸くして足を止めている。  彼の明らかな狼狽ぶりで我に返り、急に恥ずかしくなった。  まるで子どもの駄々だ。バカみたいだ、私。  やっぱりもういい、そう言おうとした時に、先に光輝が笑って折れた。 .
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