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「ち、違う……だってそれは夏祭りで……!」
「夏祭り?」
「あっ、ええと、そうじゃなくて……!」
今の光輝に夏祭りのことを言っても仕方がない。
でも急に早まった告白のタイミングに、動揺しかなかった。
なんで今日? いきなり?
パニックに陥った私を引き戻したのは、手の震えだった。
私のじゃない、光輝の手が……わずかに震えているのだ。
平気そうな顔をしているけれど、きっと緊張してるんだ。
夏祭りの日だってそうだった。
初めて手をつないだあの時も……光輝は私に見えないように少し前を歩いていたけれど、私は知っているんだ。耳まで真っ赤になっていたってこと。
「睦月、返事、ちょうだい」
「あ……、と」
ゆっくりした口調だったけれど、私の意識を彼の告白へと引き戻すには十分だった。
大好きな光輝からの、告白。答えなんてひとつしかない。
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