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「私も……光輝が好き。光輝と、付き合いたい、です」
そう言って、手をきゅっと握り返した。
記憶とは全然違うシチュエーションだし、告白も返事も、違ってる。
それでも気持ちは同じだった。
「……よかった」
ぽつりと呟いた光輝は、少し照れ臭そうに笑った。
私も笑う。嬉しさと可笑しさがごっちゃになってるけれど。
ふーっと、大きく息を吐き出した光輝が頭をかいた。
「あー……めちゃくちゃ緊張したー……」
「本当に?」
「当たり前やろ。なんか自然に言うてもうたけど」
「ほんと、めちゃくちゃさらっと言ったよね」
「睦月、最初意味わかってなかったもんな」
「だっていきなりだったし! あんな風に言われるなんて思ってなかったから……」
「うん、それはごめん。でもなんか、この景色見てたらさ」
さっきよりも色が濃くなった夕日。満開の藤の花。遊具の影。
世界は綺麗なものでできているって、今なら信じられる。
「睦月に言わなって。友達じゃない睦月を見たいって思って」
「……うん」
私も同じ。もっといろんな光輝を見たい。知りたい。
初めて友達になってくれた彼は、彼氏になってから……もっと私を大事にしてくれるってわかってるから。
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