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東京駅は、不思議だ。
息をのむほど綺麗な建物なのに、ほとんどの人が足を止めずに先を急いでいる。
「あれっ、睦月(むつき)!?」
元気な声で呼びかけられて、振り返る。ぼうっと構内の天井を眺めていた私を呼び止めたのは、大学でよく一緒にいるメンバーの一人だった。
「偶然だねー! どこ行くの?」
「実家にちょっとね」
「ああ、睦月って大阪だっけ? それにしては関西弁出ないけど」
「大阪じゃなくて兵庫かな。ギリだけど」
「兵庫って神戸の?」
「そうそう。」
そっか、こっちの人にはその説明の方がわかりやすかったか。
でも地元を説明する時に神戸を使うのは、私にとってなんだかしっくりこない。
遊びに行くなら大阪に行く方が多かったし、あんまり神戸になじみもないし。
だからいつも「ギリギリ兵庫の、大阪の隣の市」みたいな変な説明をしてしまう。
まあ、聞いた相手もそこまで詳しく知りたいと思ってないだろうし。
だいたいが「何それー」なんて笑って終わりみたいな感じで。
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