一月九日*一粒目

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   「じゃあ久しぶりに地元の子たちと遊ぶんだねー」  「んー、どうかな。みんな忙しいだろうし」  「でも成人式ならみんな集まるじゃん! 楽しみだよねー」  屈託なく笑う彼女に私も笑って返したつもりだったけれど、どうやら微妙な顔をしていたらしい。  首を傾げた彼女が私に向かってたずねる。  「睦月は、地元で会いたい人とかいないの?」  「……あはは」  会いたい人。本当はいる。会いたくても会えない人だけど。 .
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