一月九日*一粒目

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   新幹線に乗って、約3時間。  新大阪駅に着くと、構内はかなり様変わりしていた。  混雑のなか、誰もが急いでいるように見えて忙しないけれど、天井の高さからかとても広々と感じる。  実家のある川西市まではいくつかのルートがあるけれど、久しぶりに阪急電車に乗りたくなって地下鉄を目指すことにした。  広く綺麗になった新幹線の駅構内に比べ、地下鉄の駅までのルートはあまり変化がない。  少し天井の低い通路の中、パン屋さんから流れてくるいい匂いを抜けると、もう改札だ。  東京に比べて周囲が騒がしいことに気がついて、帰って来たんだなあという思いが強くなる。  地下鉄に乗れば、あっという間に梅田駅に着く。  JRで言えば大阪駅だけれど、地下鉄御堂筋線と阪急では梅田という名称を使う。どうしてなのかは知らない。  阪急宝塚線の急行に乗って、二十分ちょっとで川西能勢口。  ここまで来たら、もう着いたようなものだ。  懐かしさや思い出に浸る余韻を与えないために、まっすぐバスターミナルに向かう。 .
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