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「ああ、誰か、誰か助けて!
お願い、息子を助けて!」
息子がこの世に生を受けてから何度目になるかも分からない願掛けをする。
日本中のありとあらゆる神様に参詣した私は、神々の間でも少しは話題になっていてもおかしくなさそうなのに、
「そうか、では息子を助けてやろう」
と、お願いを聞いてくれた事はない。
生まれつきの持病を持つ息子は、昔から学校も休みがちで、ついに高校を卒業することが出来ず、『高校中退』が最終学歴。
辛うじて学校の紹介で働き口を見つけるも、やはり持病のせいですぐに辞めることになり、職安に通う日々。
でも、せっかく仕事を見つけてもやはり持病で辞めることになるうえ、職安だって持病のせいで中々行けていない。
ーーこんなの、あまりに不条理です。
どうして、どうして、私の息子ばかりこんな目に……。
あんな、
あんな、
持病さえなければ、今頃ふつうの生活をおくれていただろうに。
原因不明の難病の息子は、医者にすら、
「私では治せない」
と、さじを投げられ、もう神様にしかすがる事は出来ないのに。
だから、奇跡を信じて私はもう一度お願いをします。
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