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マイクロチップとは、鉛筆の芯先ほどの大きさのICチップのことだ。
なにやらマイナンバー制度の重要機密情報が入っているらしい。
俺が高校在学時に図書室で見つけたもので、三島先生はそれを捜し出すために南高に赴任したが、俺に先を越されたって訳だ。
「いいの?須賀くんの大事な城ヶ崎さんがどうなっても……」
"猫の爪"に渡す訳にはいかないが、致し方ないのか。
「解りました、教えますよ。卒業式の日にジョーに渡した第二ボタンを改造して中に入れこんでます。だからジョーが持ってるはずです」
「聞いてた?城ヶ崎さん!その第二ボタンって今手元に持ってるの?」
「残念ながら家に置いて来ちゃったわ。持ってても邪魔なだけだと思ってたし」
………は?
邪魔?そう言ったのかジョー。
卒業式の日、あんなに大事そうに両手でボタンを包み込んでいたジョーだったのに。
「それよりこの鎖、早く外してくれないかしら?バレてしまったことだし。もう意味ないでしょ?」
ジョーと三島先生はグルだったって訳か。
俺のことを欺いていたってことだよな、ジョー……。
「そうだ須賀くん。あなたも私たち"猫の爪"の仲間にならない?あなただったら頭が切れるし、マイナン
バーの機密情報を扱う部門に推薦してあげてもいいわよ。それ以外でも希望があればどこでも須賀くんの頭脳を活かす事ができるはず。もちろん城ヶ崎さんとも一緒にいられるしね?」
「お断りします」
今日イチの爽やかスマイルでバッサリと切り捨ててやった。
誰が秘密結社"猫の爪"の悪事に加担してやるかよ!
「ふーん。意外と頭が悪いのね須賀くん。断ってタダで済むとでも思ってるの?」
三島先生が俺に向かってピストルを構えていた。
「ハッタリだと思ってると痛い目に遭うわよ!須賀くん、あなたは知らなくていい情報を無駄に知り過ぎてしまったわ。最後にもう一度だけ聞くけど……"猫の爪"の仲間に入るつもりはないかしら?」
どうやら本物らしいな。
どうやって回避したらいいのか?
「さっきの返事、聞こえてなかったんですか?今度はよく聞いてくださいよ……お断りします」
結局具体的な策は浮かばなかった。
とりあえず仲間になるって言っておいて、それから策を考えるっていう手もあったかも知れないが、俺は曲がった事が大嫌いな性分だ。
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