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6
私は誰かに起こされた気がして目を覚ました
あれからどれくらいの時が過ぎたのだろう、時間の感覚をなくした私は辺りを見回す
誰もいない寂しい場所、ひとりぼっち、いつも通り
割れた鏡に映る自分の姿が目に入る
首の傷、思い出したくない記憶、辛い記憶
目を背けようとしたが、あることに気付く
首の傷が薄くなってる…?
急いで人々の世界を覗く
「私だ!」
そこには首を切られたはずのテルテル坊主と青年がいた
「ごめん」
頭に言葉が響く
「明日は母さんの命日だ、今度こそ天気にしておくれ」
ルテは青年がかつて自分の首を切った願い主だと気付く
そしてまたテルテル坊主にお願いをする青年を見て胸に熱いものを感じていた
「私の罪を許してくれてありがとう、今度こそあなたの願いをお空に届けます」
空を見上げ、手を前に組む
「お空の神様お願いです、逆さテルテルの私だけど、どうしてもあの人の願いを叶えたいの!金の鈴を貰えなくても良い、虹の橋を渡れなくても良い、この願いが叶うなら消えてしまっても良い、だから!!」
強く強く手を握る
「あの子の為に、祈ってくれてありがとう」
空から声が聞こえた気がした
次第に厚い雲は消え光が世界を照らし出す
朝露がキラキラ光り、鳥達が囀っている
久しぶりの太陽に皆が喜んでいるようだった
「祈りが、届いた」
初めての雨以外の天気にルテは驚く
同時に今までこらえてきたものがいっきに溢れそうになる
目頭が熱い
「泣いちゃだめ…今泣いてしまったら、この涙が雨に変わってしまうかもしれないから…!」
そう自分に言い聞かせ、泣いてしまいたい気持ちをぐっとこらえる
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