夏の陣

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「一体、どれほどの軍勢なのだ!」 「それが……」 伝令の言葉は衝撃的でした。 「一騎!? 馬鹿な! たった一騎にだと!」 「厳密には千程はおりますが……その一騎が尋常ならざる強さで、各将皆、その者に討ち取られてしまい……あとは良いように蹴散らされ……」 「馬鹿な……何故、何故そのような者が……」 その後も主力の訃報が続き、主立った名前が消えた頃、最悪の伝令が届きました。 「敵軍、進軍を開始、来ます!」 もはや“はてな王”は色を失い、うろたえるばかりです。 「だ、誰か! 誰か奴らを止めれる者はおらぬのか!」 「我が陣に人無しとは、聞き捨てなりませぬな、殿」 「おお! “どうして”か! そうか、お主がおったではないか!」 “どうして”とはこれまでの戦いで数多く国を滅ぼしてきた【はてな国】最強の武将で、この作戦では“はてな王”の護衛としてただ一人陣に残っていた、文字通り最後の切り札です。 「もはやお主しかおらぬが、ここを切り抜ければまだまだ分からぬ。頼んだぞ」 「必ずや」 そう言うと“どうして”は出陣しましたが、ほどなく伝令がやって来ました。 「伝令! “どうして”様、討ち死に!」 「“どうして”も勝てない……もはやこれまでか……」 「敵軍、来ました! 我々が食い止めます、殿は早くお逃げ下さい!」 「ふ……もう良い。“どうして”も勝てない相手とやらが気になる」 「そこにあられるは、“はてな王”とお見受けする! いざ、尋常に勝負なされよ!」 「なるほど……威風堂々、実に見事なものであるな。よかろう、受けて立つ! 名を聞かせい!」 「我は【オノマトペ国】の“ぐちょぐちょ”と申す! いざ参る!」
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