ケンカからの告白

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「いい加減、機嫌直せよ」 アタシの隣の席で、幼馴染のレイジがぶっきらぼうに言った。 謝る気がないなら、謝んなきゃいいじゃん。 「うっさい!」 ただ一言返して、読む気のない小説に目を移した。 ピンクの背表紙の、生クリームに砂糖をぶちまけたように甘い甘い恋愛小説。 ヒロインたちはみんなかわいくて、カッコいい男の子と恋に落ちる、お約束のストーリー。 女らしくないアタシには無縁の世界。 恋だって、うまくいかない。 『ナツミとかやめとけよ。ガサツだし、イビキだってうるさいし』 今日のお昼に学校でレイジが友達に暴露したことを思い出す。 あーイライラするぅ!!!!! 「悪かったって。言いすぎたよ」 それを無視して、本を見つめる私が知らない間に、レイジの前に置かれたパフェ。 甘い物嫌いなくせに何? 一種の嫌がらせ? それ、アタシが好きな物じゃん。 「これで機嫌直せよ」 スプーンにパフェを掬って渡すレイジ。 「他のヤツに渡すのイヤなんだよっ」 「はあ?」 「だから、好きだっつってんだよ、気づけよ、鈍感」 そう言うレイジの顔が赤い気がするのは気のせい? 本気? アタシ、期待してもいいわけ? こんなに女らしくないアタシでも? それを聞くのもシャクだし、答える代わりに、スプーンを奪って、バフェを食べる。 「あ、おいしい」 その後、アタシがレイジから全てパフェを奪ったのは言うまでもない。 そして、レイジは、自分用のコーヒーを追加注文して、不機嫌に飲み干していた。
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