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「そう言えば、お前キス普通にしてきてたよな。…キス慣れするくらいしてたんだ」
急にアルトにそんな話題を振られ、シェリルのカップを持つ手が止まった。
「何言い出すのよ」
「ま、別に俺の前に彼氏が何人いようと今更とやかく言うつもり無いけどさ。どうなのかと思って」
そういう話題を振った時点で気にしてると言っているのも同然なのだが、シェリルはソワソワしていて落ち着かない。
「……彼氏なんて居なかったわよ」
耳まで赤くしながらポツリと落とした言葉に、アルトが手を振る。
「お前の人気だったら選り取りみどりだろって…まさか本当に?」
「だって『私』に言い寄ってくるんじゃなくて、『シェリル・ノーム』に寄ってくるんだもの、そんなの最初からお断りよ!」
顔を赤くしながら力説するシェリルに、アルトが嬉しそうに微笑んだ。
「そっか」
隣に座るシェリルの肩を抱き寄せて、自分に寄りかからせる。
「じゃあ、キスが慣れてた感じは?」
最初の疑問に戻ると、シェリルが肩をビクリと震わせた。
「えっと、それは…」
「シェリル?」
アルトの声が冷たくて、逃げられないと悟って覚悟を決めた。
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