花火が彩る夜に負けられない戦いへ

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「戻ってもらわないと困るんです。27号機は、あなたじゃないと乗りこなせない。どんなに私が頑張っても、駄目なんです…………」  久しぶりに聞く愛機の名前が、ひどく懐かしく感じた。 「…………27号機がなくても、もっといい新しい機体があるだろ。俺がいなくても、気概のある若いやつらがいるだろ」 「駄目なんですよ、もう…………あの27号機が戻るくらいのことがないと」  ニュースでは伝えられない宇宙(そら)の戦局は、それほど追い込まれているのか。 「戦う理由は、この世界を守るためじゃ駄目なんですか?」  椿の言葉に、店主は若いころの自分を思い出していた。若いころの自分は確かに、世界を守るんだと言って宇宙へ行くことを決めた。 「隊長…………この世界を失わないためじゃ駄目ですか?金魚すくいやりんご飴みたいにしたくないんです。失ってからじゃあ…………遅いんです」  久しぶりに呼ばれた役職は、なんだかこそばゆかった。 「…………わかったよ」  店主の答えに、椿ははっとなり顔をあげる。だが………… 「10個釣れたら戻ってやるよ」  おまけな、と言って店主はこよりのついた釣り針を椿に手渡した。 「なっ!…………あなたっていう人は!どこまで頑固なんですか!!」 「まぁまぁ。約束は約束、勝負は勝負、だから、さ」  にぃっと意地悪気に笑って見せる店主に、椿は怒りに顔を紅潮させ、渡されたこよりをぐっと握り締めた。 「わかりましたよ!言っても無駄なら、絶対、絶対、10個釣り上げて見せますから!!」
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