王子と姫愛

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この人、見た目以上に気さくで話しやすい。こうして会話していると面白くて比較的穏やかだ。 学校一最強の生徒のレッテルは感じられない。そして私はいったいどうしてそんな人と会話しているのだろうか。今更ながら不思議に思う。 彼の開いた口から、ピアスのついた舌が覗いた。 「そういや、ティアラ姫、その怪我何?」 「え?」 「女なのに体に生傷多すぎ」 喧嘩じゃねぇだろ、と言われ、王子さんが私のことをじっと見つめていた意味を理解した。 制服で隠れるような、あまり目立たない場所を狙われているのに、彼は目敏い。隠しきれていないそれに言及してきた。 軽い口調に、今日初めて話したばかりの他人。私も隠すことなく、素直に話せた。
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