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(たくっ……おちおち寝てられねえな)
隙を見せれば奴らは一斉に迫ってくる。それ故 彼は眠たいのに眠ることも出来ない。
そんな状況に舌打ちをし、苛立つルベライト。
その時――
────何度目だ?
「ハッ!?」
何処からともなく、男の声が聞こえてきた。
同時に乞食達以上に殺気の込もった視線を感じ、彼は肩から下げているボロボロの鞄から大口径の拳銃を取り出して構える。
拳銃の名はデザートダイル。
銃身に彫り込まれた、ワニを象(かたど)ったレリーフが特徴的な拳銃だ。
(しかし、すげえ殺気だ……それに寒気も……。軍人や乞食とは思えねえ……)
デザートダイルを構え、辺りを注意深く見渡すルベライト。
忙しなく動く視界の中、闇の中に浮かぶ髑髏(どくろ)を見つけると、彼は瞬時に そちらへ銃身を向けた。
「誰だ お前は?」
言いながらルベライトは咄嗟に銃を撃てるよう、トリガーに指をかける。
そんな彼と対峙する髑髏は微動だにせず、ジッと見つめてくるだけだ。
「…………骸骨の魔物かと思ったが、違うみたいだな。紛らわしい野郎だ。気持ち悪い格好しやがって、何もんだテメー」
ルベライトの前に居るのは魔物ではなく人間のようだった。
髑髏は顔ではなく仮面のようであり、漆黒のコートを身に纏っている。
その人物は強い殺気を放っているが、手には何も武器を持っていなかった。
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