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「……なあ。
俺が結婚するの、そんなに嫌か?」
ベッドに腰を下ろすと、ぴくりとチナの肩が震えた。
出て行けと云われるかと思ったが、それはないらしい。
「……当たり前。
だって、ずっとたかにぃのお嫁さんになるのが夢だったんだもん」
「そっか。ありがとな」
チナの口癖。
大きくなってからは冗談だと思ってた。
まさか、本気だったなんて。
「でもさ、やっぱり妹とは結婚できない」
「……血、繋がってない」
「うん。
けど、やっぱりチナは俺の妹なんだよ。
ずっと妹だと思ってた。
だから無理」
「……私はたかにぃのこと、一度だってお兄ちゃんって思ったことない。
ずっとずっと好きだった」
「ごめんな」
小さく漏れてくる嗚咽に、俺はなにもしてやることはできない。
ただ黙って聞いてるだけ。
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