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ここどこだ。完全に迷った。 自分のバカ野郎。 私はとある研究所で途方に暮れていた。そもそも自分がどうして、今こんなところにいるのか分からない。何がどうなって、こんなことになったのだろうか。 大きく溜め息をつく。この先の見通しなどゼロだった。 こうなった事の発端は、約数時間前に遡る。 「お願いっ。頼みたいの!」 研究者である母親に頼まれ、研究発表の資料を届けにきた。 普段母は仕事の話を家族に滅多にしない。家庭と仕事をきっちりと区別する人だった。だから未だに自分の母親が何を研究しているのかは全く知らない。とりあえず何かを研究をしているらしい。 だから仕事のことでこうして頼んでくるのは初めてだったし、とても驚いた。母親もそれほど切羽詰まっているということだろう。 確かにここ何日かは家にもあまり帰ってこず、研究所にこもりっぱなしだった。父親も地方に単身赴任中だから、私は家に一人だった。 学校から帰ってきて、その電話を受けた私。マフラーを首に巻き、ダウンジャケットを羽織る。そうして寒さ対策をしてから急いで原付を飛ばした。 くっそ、ガソリン入れなきゃじゃん。行ったらその分のお金ぐらいは貰ってもいいかなあ。
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