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母親に説明された道順を追っていくと、雑木林の中へもぐり込んでしまう。本当にここであっているのだろうか。
道もろくに塗装されておらず、人の通った跡でようやく道として認識できるといった感じ。この先に研究所があるようには見えない。
心配になってくる。それだけ人気がなく、木しか見えないところだった。研究所というぐらいだから、そんなものなのだろうか。
途中でセキュリティに引っ掛かる。まさかこんなものがあるとは。母親に連絡すると、すぐ解除してくれた。
後のセキュリティも解除しておくから、と言われてこの先の経路にもセキュリティが沢山あるのを知る。
どうしてこんなに重装備なのだろうか。研究所とはどこもこのようなものなのだろうか。
右上らへんから赤外線のようなものが出ているのが見えて、レーザービームでも飛んでくるのじゃないかとハラハラした。それぐらい突拍子もない奇妙なところだった。
そのまま進んでいくうちに、ようやく終わりが見えてくる。
「ん? 小さっ」
あれだけの防備に対して、これだけの施設なのか。雑木林の中にポツンとあったのは、ただの一階建ての小さな鉄筋の建物だった。
原付をそばに止める。事務所のようなそれに、首を傾げながら入ろうとするとまたしてもそこで指紋認識があった。はあ、うんざりしてきた。
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