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再び母親に連絡をいれる。すると待ち構えていたかのように、すぐに電話に出た。 「歩! ありがとうね、わざわざ来てくれて! 本当にごめん!」 「全然いいよ。大丈夫? なんか大変そうだね」 「ちょっと今忙しくて、また一ヶ月ぐらい帰れないかも。迷惑かけちゃってごめんね…」 「大丈夫だってば。そんなのより、お母さん、ちゃんと体に気をつけて」 そう言うと、電話口からありがとうとか細い声が聞こえてきた。大丈夫かなあ。仕事面でも相当切羽詰まっている上に、私への罪悪感が半端ないのだろう。 私ももう大人だし、そんなに家にずっといるわけでもない。その気持ちだけで十分なのに。 軽く話をしたあと、セキュリティが解除され、中へと入る。中は予想を裏切らず、ただの何てことのない普通の事務所だった。 でも人影がないし、生活感もない。何なのだろう、ここは一体。母親はどこにいるのだろうか。見当たらないどころか、誰もいないのだから。 全く理解出来ていないのは私の頭が悪いのだろうか。不思議に思いながらも、母親に言われた通りそこで素直に待っていた。 すると白衣を着た男性が、とある床の一部を開けて出てきた。
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