野獣となる中学生

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グゥーーッ  戦闘開始のゴングが鳴らされた。音に気付いた両隣の席の奴らがチラリとおれの闘いの行方を見守る。 ギュル グギュルルル  問答無用におれのエネルギータンクを締め付けてくる対戦相手。おれはただ、手で患部を押さえ込み、生唾を飲み込んでジッと耐えるしか術は無い。  ある程度攻撃を耐え抜くと、そのうち頭の中に幻聴が聞こえてくる。 『ほーれほれ。苦しいだろう? 無理すんな。我慢は体に毒だぞ? 何たってお前は育ち盛りなんだからよ』  何度となく腹部から悲鳴を上げさせられ、タンクにダメージが蓄積されていく。容赦の無い波状攻撃におれはついにギブアップし、教科書を壁のように立てると、イシケンが黒板の方を向いた隙に素早く鞄から包みを取り出した。  包みを開封し、その中身を見た瞬間、決壊したダムの如く口から唾液が溢れ出る。  そして受けたダメージを修復するべく、おれは一気に中身を口内へかき込んだ。  美味い。みるみる体力が回復していく。さすが母ちゃんの特製弁当だ。  おれの永遠の宿敵、“食欲”。こいつがいたからおれはLサイズのTシャツがピチTになるまで太らされた。こいつに抗う事は、川の下流から上流へ泳いで上るくらい無茶な事である。
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