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ー…親愛なるあなたへ。
この手紙が、あなたに伝える最後の手紙になると思うと何を書いて良いか分かりません。
笑い声などとうに途絶えた僕の町も、すっかり静かになりました。
言葉など、もはや無駄だと町の人も理解したようです。
せめて助けてと、お上に訴えることさえ出来ないのですから。
3ヶ月前にこの町の地下にバベソレンコ伝染病という、名前も知られていない妙な名前の伝染病の種菌が保管されていたことは以前書いたお手紙に示した通りです。
300年前にある魔法使いにより開発され、表向きは処分されましたが兵器として使えそうとか何とかで当時の権力者が秘密裏に保管してたやつです。
300年の時が流れて、保管していた容器が腐食し…この町の生活用水路に菌が流れ出したんですね。
この伝染病は感染はしますが…健康に害は与えません。
されど、まったく害を与えないものじゃないんです。
この伝染病は言語障害だけを引き起こすんですよ…健康なのに普通に言葉を放つことが出来なくなるだけ。
それなのに、僕らは今日この日をもってこの世界から消されるんです。
言の葉を奪う伝染病から、この世界を守るために。
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