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「あ、あの・・・」
「ショタだって言ったでしょ」
十分ほどしてバタンと部室のドアが開く。
「急用ってなんだよ」
中に入ってきたのは一年生の男子だった。
「いらっしゃい」
ドアの陰に隠れていた部長は、その一年生の男子を抱きしめた。
「相変わらず、ちっちゃくてかわいいわね」
確かに、その男子は私並に背が低く、女の子のような小顔だった。
「やめてください部長・・・」
何となく察した。この男子も私と同じように部長に声をかけられたのをきっかけにここの部員になったのだ。
「どう、これで分かった。わたし、百合じゃなくてかわいいものが好きなの」
「・・・」
とそこに、あらたに三年生の女子が入ってくる。
「副部長、助けてください」
その一年の男子生徒がその新たに入ってきた女子に助けを求める。
「なに、また、やられてるの? 男なら、乳をもみ返すぐらいしなさい」
「あら、いいわよ、おっぱいもんでみる」
副部長の言葉を受けて部長が彼から離れ、おっぱいをもみやすいように差し出す。
「さ、どうぞ」
「で、できるわけないじゃないですか」
その男子生徒は顔を真っ赤にして部室を飛び出していた。
「あら、待ちなさい」
部長が追い掛けて出ていく。副部長と私は取り残されぽかんとしていた。
「あら、入部希望者? 今の見て呆れたかもしれないけど、うち真面目なボランティアもやったりしてるから」
副部長が事務的にさっと入部申し込み用紙とボールペンを差し出す。
「いやなら、部長がいない今のうちに逃げることね」
この副部長さんはまともそうだと感じると私は入部を決断した。自分は特異なスポーツ等はなく、何かすごく興味があるものがあるというわけではない。その点この文芸部はいるだけで退屈しなそうに感じた。
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