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朝宮はニヤリと笑い、静かに告げる。
「最初に言った。“叶えられるかは分からねえ”。そもそも白河先輩といえば最近まで学校に来ていなかったって聞くし、明日からまた来てくれるとも限らねえんだ。それでもいいか?」
「――! はい!」
「ったく。幽霊から事情聴きに来ただけだっつーのに、また変なことに巻き込まれちまったよ……んじゃ、さすがにこんな時間に学校に居残ってるなんてバレたら面倒だ。またな幽霊、先にお暇させてもらうよ」
「はい。神奈子さん、えっと、また!」
嬉しそうにそんなこと言われたら、また来るに決まってる。とりあえず、まだこの非日常が続くと思うと、楽しみな、朝宮だっだ。だがしかし、そう心を躍らせたのが命取りだ。
「こら!」
「げ、教頭……!」
朝宮は、校舎の反対側に走り、窓を開けて飛び越えた。顔を見られたら、マズイのだ。急いで裏門から出る。
「っ…はぁはぁ…。」
膝を折って、立ち止まる。今日は、走ったりなんなりで、忙しい。朝宮も久々の運動に疲れを感じた。だが、家までは長い、朝宮はゆっくりと歩き出して、家へと向かっていった。急ぐ必要はない。
帰ったところで、朝宮の帰りを待つ家族などいないのだから。
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