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《4・鹿園寺琴子》
第二図書室を後にした琴子は出た直ぐの柱の裏に隠れていた。室内で何があったのか気になったからだ。図書室内で悲鳴など穏やかではない。
しばらく隠れている図書室のドアを開ける音が聞こえた。そっと覗くと女生徒を抱えた生徒が駆け抜けていった。
「あら、さっきの悲鳴はあの生徒のかしら。中で何が起こったのかしら…。」
気にはなるが先ほどの恐怖もありイマイチ教室の中へと入る気は起きなかった。そうして入ろうか、このまま帰ろうかと考えているとさっき図書室から抱えて行った生徒が戻ってきた。
そして図書室内に入った。琴子はこの生徒のついでに入ろうとしたが、どうも今入っていった生徒が扉に寄り掛かっており開け辛い状態だった。
「どうしてこうも図書室に入るタイミングを逃すのかしら…。」
琴子はまたも教室に入らず柱の裏に隠れた。
しばらく経つと教室から抱えていた生徒が勢いよく出て行った。もう直ぐ夜になろうとしてる、帰宅したのだろう。ガラッと扉が閉められた。
「……出て行ったわね。次こそ入ってみましょう。」
そう言ってようやく琴子は静かに扉へと手を掛けた。
ガラッとまた扉を開く音がした。
早緒はまた神奈子が入って来たと思ったのだろう。
「神奈子さん?忘れ物でもした……。」
「あら、こんばんは。遅くまで読書とはご熱心ね。」
琴子はここ第二図書室の王へとそう話しかけた。
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