4周目

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(さて………。今日もいつも通りに…。) 目を閉じ、意識を脳内に集中させる。ふと、昨日の学内新聞を思い出した。 《学園の七不思議人!?》 《人を見透かし、物事すら見透かす!?”森の賢人!!”》 そうだな。自分の中には自分すら掴みきれていない”何か”がいる。 頭の中の「靄(もや)」に先ほど聴いたヘアピンの情報を「投げ込む」。 すると、「靄」の先から情報が「浮き出てくる」。 そこには校舎裏にある木の枝、その上にある鳥の巣の映像が写っていた。巣の中には探し物のヘアピンが落ちている。 目をゆっくりと開く。直ぐにSNSを開き、探偵部の部員達に昼休みに集まるよう連絡を入れた。ホームルームまであと5分。寝るのは諦めて大人しく待っていよう…。 俺は、福弥爾郎は特殊な能力を持っている。それは「自分の求める答えが分かる」能力だ。必要な情報を入れればより詳細な「答え」が出る。自分でもまだあまり把握しきれてない「能力」だった。 ただ、大切な何かを守るための「能力」だった。
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