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「命ずるものなくば、お前は動くことさえ叶わない。
お前はそういう存在であるはずだ」
「黙れ……!!」
「殺すためだけに作りだされたお前は、主を失った今、何を考えている」
「黙れっ!!」
女の刃が振るわれる。
だがそのすべてを城主は払った。
押されながらも危なげなく、城主は女の刃を払い続ける。
「青藍、お前の望みは何だ」
「黙れッ!! その名を……っ!!」
ギリッと奥歯を噛みしめる音が番兵の耳にまで届いたような気がした。
それくらい女の声は『血を吐きそうな』と形容したくなる悲痛な色に染まっていた。
「その名を主様以外の者が口にするなど、妾は許さん……っ!!」
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