青藍の狂華

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「渡してやってくれと、預かった物がある」  城主は残された左腕を懐に入れた。  その動きに合わせてシャラリと、涼やかな音が響く。 「受け取れ」  城主はそれを、女に向かって放った。 「……っ」  それは、銀で作られたかんざしだった。  細やかな鎖細工の先には青玉と藍玉がはめ込まれている。  添えられた銀鈴とすりあって、玉は澄んだ音を奏でていた。 「主様……っ!!」  女の意識が、城主から逸れる。  その瞬間を、城主は見逃さなかった。 「っぁ……!!」  女の手から刀を奪い取り、返す刃で女の胸に真っ直ぐに切っ先を突き立てる。  女の体から、生身の人間のように飛沫が上がることはなかった。
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