二限目演技実技①

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二限目演技実技①

声優を目指すという事は、とても難しいことだ。 悪魔の降臨により、混沌とした教室。しかし、彼らは二限目という新たなステージに立つ。いや、立たされるのである。 始業のチャイムの音が鳴る。 ドアから学院で一番人気のある井川先生が入ってくる。 皆が先に挨拶をする。 「おはようございます!」 井川先生もそれに答える。 「あぁ、おはよう!それでは始めます!」 僕たちも返事をする。 「よろしくお願いいたします」 井川先生が授業の準備をしながら話し始める。 「それじゃ、まずは、このドラマCDを聞いてくれ。先生が新人の時の奴だから、演技面は、ツッコまないように」 教室から少し笑いが漏れる。 井川先生がCDを再生する準備を整えた。 おそらく、ドラマCDだと思う。 「じゃぁ、始めるぞ」 井川先生がCDプレイヤーのスイッチを入れる。 飛行音のBGMが流れている。 爆撃音も聴こえる。 「くっ、敵に後ろを取られちまった!ちきしょう!ミスっちまったぜ!しつこく追い掛け回してきやがる」 30代後半くらいの人物のセリフが流れる。 さらに爆撃音がする。 「ぐっ、ダメだ...」 モニターパネルが開く音がして若い20代くらいの人物の声が流れる。 「振りけれないのか甲斐!」 さらに30代の男性。甲斐さんが答える。 「隊長!」 隊長のセリフが続く。 「あきらめるな!すぐ助けに行く!リン!聞いての通りだ。誘導してくれ!」 飛行機が旋回する音に合わせて、操縦桿に力を込める声が混じっている。 SEでノイズ音が入る。 「無線が...」 またSEでノイズ音が長いものと短いものが続けて挿入されている。 おそらく、無線が使えない状態で、仲間の支援が受けられない状態なのだろう。 「くそ、やるしかねーか!両機の間に割り込むぞ!」 飛行機が旋回する音に被せて、20代の隊長がセリフを言う。 「甲斐を、仲間を助ける!」 井川先生がドラマCDのスイッチを切り、話を始める。 「はい、こんな感じだ。ちなみに、今の「甲斐」と「隊長」は俺が演じている。新人の頃、隊長役の人が、急に収録に来れなくなって代役でやったんだ。新人は全部の演技を練習していれば、そうゆうチャンスもある。だから、台本は、全部読んで来い。セリフの流れや感情も、読まないと理解できない」
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