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二限目演技実技②
講師の先生には、いろいろな人がいる。
悪魔もいれば、大人もいる。不思議な世界だ。
充実した時間を生徒たちは。今。桜花している。
井川先生が始まりの合図をする。
「はい、では、始め!」
BGMが流れる。
先ほどと同じく爆撃音が聴こえる。
松本君が甲斐のセリフをぎこちなく言う。
「くっ、敵に後ろを取られちまった!ちきしょう!ミスっちまったぜ!しつこく追い掛け回してきやがる」
さらに爆撃音。
「ぐっ、ダメだ...」
モニターパネル音。
川島君が隊長になりきって演じる。
「振りけれないのか甲斐!」
松本君が返事をする。
「隊長!」
川島君が続く。
「あきらめるな!すぐ助けに行く!リン!聞いての通りだ。誘導してくれ!」
旋回する音が入る。
その後に、ノイズ音がSEで入る。
川島君がセリフを言う。
「無線が...」
また、長いノイズ音と短いノイズ音。
川島君がセリフを続ける。
「くそ、やるしかねーか!両機の間に割り込むぞ!」
旋回する音にあわせて、アドリブをはさむ川島君。
「甲斐を、仲間を助ける!」
川島君の最後のセリフを終えてから、井川先生がCDのスイッチを切る。
井川先生は生徒を褒めて伸ばすタイプの先生だ。
「はい、ありがとう!よかったよ」
松本君と川島君が同時にお礼をいう。
「ありがとうございます!」
井川先生がアドバイスをする。
「川島は旋回するときの操縦管を回すときとかの力の入れ具合とかを声で表現できるともっと良くなるよ」
「松本は緊迫感とやせ我慢を表現しつつ、「もうダメだ!」は諦めを出さないといけないから、感情変化に注意していこうか」
具体的で適切なアドバイスだ。
二人は改めてお礼をいう。
「はい、ありがとうございます!」
野田君は、まだ森先生のダメージを引きずっている。
「僕も褒められたかった...」
橋本さんは森先生と井川先生を比べる。
「これが、本当の授業よね。やっぱり、森先生とはふた味違う!」
終わりのチャイムが鳴る。
井川先生が申し訳なさそうに話す。
「あっ、もう終わりか。ごめんな全員見れなくて」
一同は元気いっぱいに挨拶をする。
「ありがとうございました!」
井川先生が最後に言葉をかけて教室を後にする。
「それじゃ!また、よろしくお願いします!」
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