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帰宅時間
井川先生の活躍により、生徒達の気持ちは高揚していた。
今日の授業は、これでおしまい。
帰り支度を迎える生徒たち。
彼らは今。何を話しているのだろう。
野田君が慣れた手つきでティーカップを運んでくる。
「椿様!お疲れでしょう、ハーブティーをお持ちいたしました」
椿君が答える。
「うん、ありがとう(笑)」
皆が一斉に呟く。
「奴隷だ」
「奴隷ですね」
「奴隷だわ」
松本君が野田君の肩を掴みながら上下に揺さぶりながら話す。
「おい野田!しっかりしろ!古今東西、悪魔に魂を売って、幸せになれた者はいないんだぞ!」
橋本さんも続く。
「そうよ、野田君。騙されちゃだめよ!」
野田君が叫ぶ。
「うるさい!俺は騙されちゃいない!気づいたんだ。現実に。森先生は最低だよ。でも、言ってることは最もだ。僕には、顔やコネどころか、巧さもない。何にもないんだ。だから、魂を売って、椿様とギアスというなの契約を結ぶことにより、コネを手に入れるんだ--!」
松本君がたじろぐ。
「説得がまるで通じない」
川島君も諦めの表情だ。
「もうダメなのか...」
橋本さんが最後の手段に出る。
「こうなったら、野田君!」
「えっ?」
橋本さんがグーで思いっきり殴る。
「ぐぎっ!!」
クリティカルヒットが決まった。
その瞬間、全員の気持ちが30メートル引いている。
「え~~~~~~~!」
橋本さんは、やり遂げた感に満たされている。
「これで、なんとかなるんといいんだけど」
当然、一同から同じセリフを吐かれる。
「ならないよ!」
橋本さんは、笑ってみせる。
「大丈夫よ。うまくいけば、記憶を無くしていつもの野田君に戻るはずよ!」
関西人の松本君がツッコミを入れる。
「いやいや、無理だって。しかも、かなりのクリティカルヒットだったし。生死すら心配するわ!」
背後で、野田君の生死を確認する川島君。
「野田、起きろ。野田!」
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