第1章

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「うううう、1000円、俺の1000円…。しかも一口も恵んでくれないし…鬼や…この人鬼やでぇ。」 時は少し進み、今はおばあちゃんが悲しみに沈む彼のお小遣いだったもので買ってきた…おやつを熟練者もとい彼の祖父がマルッと全てその胃袋に納めた頃。 彼には更なる試練という名の追い討ちがかけられようとしていた。 「なんじゃ。相変わらずなっさけないのぅ。ちょっと負けたくらいでイジイジと。 お前さん付くもの付いとるんか?付いとっても小さそうじゃのう。ミジンコ並みなんじゃなかか?」 彼ははたして打ち勝てるのだろうか?見物である。 「付いとるわっ!誰がミジンコ並みだ!立派とは言わないがそこそこのが鎮座されてますぅ!」 なんとかやり返す彼もとい孫。だが残念。 その程度の、しかも穴だらけの言い返しではーー 「なんじゃ。やっぱり小さいのか。こりゃ曾孫どころか、嫁…いや、彼女の顔を拝めるのはまだ大分先かの。 儂がくたばるまでに出来るといいの? ああ、がきんちょには無理じゃったな。悪い。がきんちょ。」 ーー相手が悪い。悪すぎる。 「じいちゃん。話聞いて?そこそこだって言ったよね? あと…俺、孫だよ?アンタの血を引く可愛い孫よ?もう少し優しくしてもバチは…。」 既に若干涙目である。 だがやはりーー 「儂の孫だと言うならば、儂に何か1つでも勝ってみせてみんか。ミジンコが。」 「アンタ本当に鬼かっ!?仮にも孫を何度もミジンコ呼ばわりしないで!?」 ーー口の悪さでも勝てそうにない。弱点を的確についてくる。流石、熟練者。 「さて、腹ごなしに相撲でもするか。孫よ。」 そしてここでまさかの話題変更。 スルースキルも持ち合わせているようだ。素晴らしい。 「さらっと流された!?頼むから会話しよ!?目、合わせよ?言葉のキャッチボールしようぜ、じいちゃん!お願いだから俺を見て!」 だがごまかされる程愚かではなかったようだ。 しかし見向きもせず言い放った一言で勝敗は決した。 「儂に勝ったらさっきの1000円に小遣いもくれてやるぞ?」 「やらせてもらおうじゃないか。是非ともお願いします。お祖父様。」 それに容易くノってしまう孫が愚かなのか。祖父が策士なのか。 「負けたら庭の草むしりをしてもらうがの?」 「大丈夫。問題ない。若者の体力なめんなよ!じいさん!」 「ほっほっほ。じじいの技を見せてやるわい。がきんちょ。負けて泣くでないぞ?」
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