ふれる日常 その3

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「お久しぶり、空手家くん」  視線を向けた先、部屋の真ん中に佇む男の遥か後方。  満月が――そういや狼男の幸人くんは今頃狼になって大変か、ハハ――浮かぶ夜空が切り取られた窓枠に、それはまるで捻じ込まれハメ込まれたように左足は伸ばし突っ張り右足は膝を立てて窓枠に、座っていた。  この前と同じフード付きのコートだったが、今回フードは取り、前は開けていた。  中にはなぜか北欧風の制服のようなものを着込み、そして頭には三角帽子を被っていた。  おまけに足元はトンガリ靴。ほぼネタといっていい格好だった。  これで杖とか持ってたら完璧な魔女っ子の出来上がりといったところか。  少し、笑えてくる。  そして宮藤が羨ましいだろうある部分は反比例的に育っていた。  いや特に他意はないが。  再会に俺は片手を上げて、 「おう、久しぶりだなちっこいの。この前のローキックはだいじょう――」 「ちっさい言うなッ!!」
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