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ビビった。
稽古で怒鳴り声には慣れている筈だが、それにしても急転直下にして家じゅうに響くような大音量だった。
こんなちっさい身体のどこにそんなパワーを秘めてんだ?
「ふー……ふー……っ」
と思ったら、涙目でこっちを睨みつけて息切らしてた。
そ、そんなに?
そんなにか?
身体的特徴で呼んだのが、そこまでだったのか?
「あ、いや、あの……」
「ちっさくないっ!」
「そ、そうだ、な……?」
「疑問形にすんなっ!」
「わ、わりぃ……」
久しぶりに女に謝った。
なんか新鮮な心地だった。
というかよく考えれば結構最近吸血鬼に謝ってた。
今度は魔女っ子モドキに謝罪かよ。
なんだ俺の人生?
そのちっこい――というか女は息を必死に整え、
「……この前のろーきっくは、痛かった」
「……お前ローキックの意味、わかって言ってるか?」
「この前のキックだろ?」
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