エピローグ

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 前もって先野の報告書を読み、内容は理解していた。見事なまでに理路整然としており、一部の隙もなかった。依頼者への対応も落ち着き払っており、詐欺師にでもなれるのではないかと呆れるほどであった。  依頼者の前で報告書を広げて説明している先野を見つつ、これでこの格好さえどうにかしてくれたらもっと信用されるのに、とすごく惜しかった。  先野はいつものとおり、白いスーツの上下に紫色のシャツと赤いネクタイだった。室内にもかかわらずソフト帽子をかぶり、いったいなにをイメージしているのかと疑問だったが、なんとなく聞いてはいけない気がして聞きそびれていた。 「以上で、この案件についての報告でございました」  報告書を閉じ、依頼者にわたす先野。
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