溺れる身体

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「そうだ茉歩。 明後日の接待、和食の店だったよな? フレンチ系の店に変更出来ないか?」 茉歩って呼ばれる事ですら、今更いちいち嬉しくて。 「わかりました。すぐに変更します」 それだけじゃなく。 専務の視線やその唇、その手や仕草までにもいちいち反応して… 胸が騒ぐ。 "欲に流されたりなんか、しない" そう思ってたのに。 "1度だけ"で割り切る事が出来ずに、まだ専務を欲してる私は… すっかり欲に蝕まれてる。 でも専務は。 私との事なんて、そんなにあっさり割り切れちゃうんですね… 胸が締め付けられる。 ダメだ… 業務に集中しなきゃ。 それ以前に! 私は人妻なんだし、心を改めなきゃ。 専務への感情を、なんとかサポートモードに切り替えて。 ふと。 作業の合間に顔を上がると。 額を右手で覆うようにして、苦しそうに溜息を吐き零す姿が映る。 「っ、大丈夫ですかっ?」 その声掛けにハッとした専務は… 視線を私に向けて、意味深に見つめて来た。
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