3380人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
だけど忘れてた。
強く抑え付ける程…
その分反発心が募って、逆効果だって事を。
「茉歩。
チェックする契約書ファイル、全部持って来てくれ」
目の前に欲求対象をちらつかされれば、尚更。
「はい。お願いします」
頼まれた数冊のファイルを差し出すと。
以前なら直接受け取ってた状況なのに…
「ああ、ここに置いてくれ」
書類を除けながら、そのスペースを指示する専務。
途端、端の書類が落ちそうになって…
ファイルを置いていた手を慌てて伸ばすと。
同じくな専務と、手が触れる!
あの夜以来の、専務の体温。
それを感じてしまったら…
もう駄目だ。
抑え付けられてた欲が一気に弾けて…!
どちらからともなく、キュッと指をしがみつかせた瞬間。
専務はそれを払って…
「っお互い、いい反射神経だなっ」
軽く笑ってその場を躱した。
拒否されたような状況に、この胸は切り裂かれて…!
行き場を失くして暴れる欲に、この心は弄ばれて…
とにかくその渦から、逃れたかった。
最初のコメントを投稿しよう!